12月6日に開催された第2回マンション管理ゼミ、今回のテーマは「どうする!!金食い虫の機械式駐車場」。ゼミレポートの3回目は実例を交えて機械式駐車場を廃止するにはどうする!?です。
都市中心部の駅近マンションなどでは車を所有する居住者が減って駐車場に大幅な空きが出ているケースも増えています。こうしたところでは高額の修繕計画費用や機械更新費用を払うより、収容台数を減らしても機械式駐車場を撤去して平置きにしてしまってはどうかということも選択肢に上ってきます。
一方郊外型など駐車場のニーズ自体はある場合でも、維持費のあまりかからない自走式への変更を検討するケースがあります。しかし敷地の条件で自走式が可能であれば最初から自走式にしているケースがほとんどで、途中から自走式への変更は建ぺい率等の制約により実現は難しいのが実情です。従って、機械式駐車場を廃止する場合は収容台数がかなり減ることを前提にする必要があります。
このような場合であっても、台数の確保は必ずしもマンション敷地内の駐車場ハードだけで解決しなければならないわけではありません。ある管理組合では近隣の駐車場を組合で借りることによって減少分を補ったケースがあります。高額の修繕・更新費用を払い続けるより管理組合として安上がりという判断です。
さて、いざ機械式駐車場を撤去することになった場合、例えば地下1階の単純昇降式駐車場を撤去すると幅2.5mx台数分、奥行約5m、深さ2.3m程度の穴が地面に出来ます。これを埋め戻すのにあるマンションでは複数の土木工事会社と見積・交渉の結果、10台の機械式駐車場撤去、埋戻し、アスファルト舗装10cm等一式を約260万円という安い費用で実施できた例があります。但しこのケースでは埋戻しに土を使ったため、その後1年以内に全体に地盤沈下がみられ特に目立つ3台分のスペースについては保証等による補修をしたものの根本的な解決には至っていないということです。また、土を入れる方法は地盤沈下が起きやすい点も注意が必要です。
埋め戻すとき一番いいのは砕石と砂を何段かの層にして埋める方法ですが砂を使うと費用は高くなります。マンションの状況に応じて埋戻しの費用、内容、保証条件等をよく検討する必要があります。さらに工事期間中(上記の例では約2か月)は駐車場が使えないため、敷地の一部を臨時駐車スペースとしたり外部の駐車場を借りたりする対策も必要になります。
機械式駐車場については全体的な保守・修繕・更新コストを把握した上で、それとの比較で様々な費用削減対策やソフト面での対応について検討し、管理組合としての合意形成をはかることが金食い虫から逃れる方法です。設置環境、現在の機械の状態、今後の費用見通し等によって勧められる対策の内容は異なってきますので、まずは当(社)管理組合支援センターの専門家に気軽にご相談いただければと思います。
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(投稿日:2015年02月5日 | カテゴリー:機械式駐車場の修繕等)