今年も12月になりましたね。この1年はコロナに翻弄される1年でした。これまでと全く異なる世の中になり、自分自身の生き方を見直すことも多かったのではないでしょうか?
マンションでは2つの高齢化が顕著になり、人だけでなく、建物の高齢化も考えなくてはいけない時期にきています。これまでの大規模修繕(外壁や鉄部の化粧直し)だけではなく、古くなった給排水管の更新工事等を検討しなければなりません。
でも「もう自分達は歳だから、建物や設備にお金をかけたくないし、その必要もない。このまま何もしなくて良い。」と考える方も多くいらっしゃいます。
しかし「所有する」というのは厄介なもので、人は亡くなって肉体はこの世に存在しなくなっても、建物と所有権は生き続けます。これは簡単に処分できません。そしてその所有権は相続するご家族に移ります。
相続したマンションに価値があれば、売却することも賃貸することも可能ですが、それだけの価値があるマンションかどうかが問題になります。
相続した物件が管理不全マンションである場合は売る事も住む事もできず、にもかかわらず毎月の管理費、修繕積立金の支払をしなければならない「負の遺産」となるのです。そうならないように、自身の死後、残された人達のために所有しているマンションを財産価値のあるものにしておく必要があります。
滋賀県野洲市の管理不全マンションが今年6月末、空き家対策特別措置法に基づく解体工事を終了しました。その解体費用として区分所有者には一人あたり1,300万円を超える解体費用が請求されました。
そして9月24日、工事費約1億1,800万円のうち約3,900万円を回収したと市は発表しました。
市は「解体終了後に所有者9人中、所在不明の1法人を除く8人に対し各約1,300万円を請求。8月20日の期限までに全額を支払ったのは3人。他の5人には9月4日までに納付するよう督促状を送り、3人と面談。うち2人は支払う意思を示し、納付期限や方法について相談を受けており、1人は支払いが困難な状況だという。残る2人は全く連絡がないといい、市は今後、直接訪問するなどして面談を試み、回収を続ける」としています。 『マンションの維持管理は自身のためならず…。マンションにともに暮らす区分所有者と相続する人たちのためなり。』その事をお忘れなきようお願いします。
マンション管理士 T.N
(投稿日:2020年12月10日 | カテゴリー:マンション管理組合)