当支援センターでは11月初旬、縁あって10月にテレビ放送のあった築46年59戸、6階建ての老朽化マンションの視察のために鹿児島に行ってきました。
壁のあちらこちらが剥がれ落ち、電灯が外れぶら下がったままの天井や、さびついたベランダ等老朽化が激しいのですが、そこここに洗濯物が干されており生活されているのがわかります。
2年前には外壁のタイルが剥がれ落ちて道路に落下し、非常に危険な状況だったといいます。現在はタイルを剥がし、その上から塗装しています。
建設された1976年当時は、まだ管理組合もなく修繕積立金は安く設定されていました。管理組合もしばらくありませんでした。築20年ほど過ぎたころに、不良工事の影響で大量の外壁が剥がれ落ちたため2000万円かけて修繕し、積み立てた資金はほとんどなくなってしまったそうです。
その後建物の劣化は進み、修繕の出費がかさんでいきます。現状は何かあってもお金がないので何もできない状況です。
現在の修繕積立金は月3,700円ほど。所有者たちの高齢化も進み、年金生活者が増えていき値上げは考えていないそうです。しかし、問題が山積みである事がわかった時期に積立金を値上げする事はできなかったのでしょうか?
大規模修繕工事費をざっくり戸あたり100万円として、それをマンションの一生の中で4〜5回行うとしたら、月の修繕費が少ない事は明らかです。まだバリバリ働いている時期から積立金を蓄えていたら…。多くの老朽化マンションではその傾向が当てはまります。
戸建に住んでいる場合、修繕工事は自分でやるしかありませんので、持ち主にはその心づもりがあると思います。修繕工事にかかる費用を確認して貯めていきます。
マンションも同じです。修繕工事にかかる費用を毎月の修繕積立金で貯めているのです。 その工事にかかる費用が足りなければ修繕はできません。だからこそ積み立てている金額が適正なのかが大切なのです。
「管理会社や管理組合がやってくれる。面倒な事はみんな誰かに任せれば良い」と思ってマンションの管理に全く関心を持たない方が沢山いる場合は、誰も旗を振る人がおらず老朽化が進むのみ。
お金がないと頼みの管理会社から契約を切られてしまう時代に突入しています。
分譲マンションは所有権を持つ所有者が作る管理組合が話し合いにより管理をしていかなければなりません。
こんなに矢継ぎ早に質問したら、「何言ってるの?管理は管理費払って管理会社に任せてるのよ。だいたい長期修繕計画なんてあるのすら知らないし、積立金がいくらあるかなんて、何も知らされてないのにわかる訳ないでしょ。」と反論されそうですね。
年1回、管理組合総会が行われているマンションでは、修繕積立金がいくら積み上がり、どのような修繕工事が行われたのかは毎年ちゃんとお知らせされているはずです。
総会に出席された事はありますか?そこで1年の収支から1年の活動実績、次期の活動予定等の説明がされます。もう何十年も総会に出ていない方は、資料に目を通して、総会に出席してみて下さい。マンションの現状がよくわかると思います。
管理会社は営利企業ですから、ある段階で収益が合わないということになれば撤退していくこともあり得ます。ですから、気が付くと誰からもサポートが受けられない、そんなことがありうるのです。
限界マンション(維持していくための限界に達している老朽化したマンション)で行政が入って取り壊ししたマンションでは、それぞれの所有者に対して1戸あたり1300万円の取り壊し費用が請求されたそうです。自分が亡くなっても所有権は相続されますので、その請求分は相続されます。自分が死亡したらお終いではありません。
負の遺産とならないよう①自分の財産は自分で守る。②計画的に適正な修繕工事を行う。③そのためには修繕費がショートしないようにお金を貯め、計画的に修繕をする。それが基本です。
所有するということはとても重い責任を負うのです。マンションの場合は特に他人との共有物である為、所有者同士の話し合いで話を進めなければなりません。誰かに丸投げではなく、「自分も責任の一角を担う」必要があります。
今の現状を何とかしたいがどうしたら良いかわからない場合は、当マンション管理組合支援センターにご相談ください。解決の糸口を見つけるお手伝いができると思います。
何もしなければ限界はどんどん近づいてきます。所有者それぞれがマンション管理に興味を持ち関わっていくことが重要なのです。
目覚めよ‼️区分所有者たち❗️
マンション管理士 C.N
(投稿日:2022年12月26日 | カテゴリー:マンション管理組合)