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マンション管理組合の健全な運営に役立つヒント集

「限界マンション」に陥らないために

一人でも意識ある組合員が粘り強く活動すれば改革につながる


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◎管理組合団体を立ち上げた理由

私が1863戸の分譲と賃貸の団地の合同の自治会活動をスタートしてからもう37年余りが過ぎようとしている。その活動がきっかけとなって駆け込み寺である管理組合団体を立ち上げ、それから29年間、常に消費者目線で活動し管理組合に寄りそってきた。


その団体の退職をきっかけに、管理組合活動からは足を洗う?つもりでいたが、「まだ多くの困っている管理組合のためにもう一度お役に立てれば!!」と有志から肩を押されて管理組合のための支援センターを設立した。通年37年猶予の管理組合活動の経験を踏まえて言えることは将来安心してマンションに住み続けるためには、資金繰りすなわち資金計画が健全で修繕積立金不足に陥らないことである。


◎管理会社の長期修繕計画は信頼できる?

昨今、88戸でまだ築後10年足らずの管理組合から相談を受けた。その内容は、管理会社が作成した長期修繕計画書によると4年後の大規模修繕工事後の修繕積立金の残高はわずか200万円程度になっている。


そのため、その計画では入居当初から5年毎に修繕積立金を値上げするシミュレーションが提案されており、第2段階値上げ(戸当たり平均で4000円程)が今年の5月の定期総会で提案実施される予定だった。


しかもそれにおまけがついていたのは、修繕積立金の不足がはっきりしているにも関わらず、「屋上防水は10年で補償が切れるので全面の工事を2000万円で実施する必要がある」との提案つきである。


とんでもない提案なので理事会に出席して総会前に阻止することができた。むしろ4年後までに1億2000万円の修繕立積立金を貯めるためのその方法の一つとして、10年間、一度も大幅な見直しをしなかった管理委託費の見直しを提案した。


◎管理会社の努力義務とは?

その提案は理事会で承認され、すでに現管理会社を含めた複数社から相見積もりを取るための依頼書を各社に送ったところである。支援センターでは現管理委託費の適正化診断をすでに終えており、大幅な削減が予想され期待することが大である。もちろん安かろう悪かろうではなく適正金額にしての削減である。大幅に削減した管理委託費は、当然修繕積立金に繰り入れ不足金を補う予定である。


また、このマンションは入居当初から滞納があり、現時点ですでに10件程になっておりその総額は200数十万円にもなっている。管理会社は、管理組合と協力してできるだけ早いうちに滞納をなくすよう努力義務があるはずだが、今まで何をしていたのか・・・・?


◎「限界マンション」にならないために

わずかまだ築10年で修繕積立金不足、滞納が10件程あり、また、機械式駐車場を抱えていて高額な修繕費がかかる爆弾をかかえており昨今、言われるところの「限界マンション」に近づいているようである。


ここで歯止めをするための取り組みはスタートしたばかりである。「大規模修繕時期までに修繕積立金を1億2000万円貯めよう!!」をスローガンに管理組合と共に健全な資金計画を成功させるためはまずは、管理会社お任せの管理組合運営から抜け出す必要がある。改革の一歩を踏み出せたのは、ひとえに入居当初からこのマンションの行く末を案じた意識ある人が修繕委員会に関わりながら、地道に10年間活動をしてきた結果が、ようやく実り始めているのである。


(代表理事 有馬百江)



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