2月22日に開催された第3回マンション管理ゼミ、今回のテーマは「給排水管の改修工事・長期修繕計画の適正化!!」です。ゼミレポートの3回目は改修工事の計画や費用および実施にあたっての注意点です。
給水管の改修は15年程度で内部のサビを削り落すための「更生」工事、30年程度で配管全体を取り換える「更新」工事が目安になります。排水管については内壁に付着する油脂分などのヨゴレは高圧洗浄で定期的に洗い流しますが、管自体の腐食のためやはり30年程度が更新の目安とされます。
但しこれらはあくまでも目安であり実際の工事時期は配管の状態を見きわめながら判断するべきものですが、管理会社は万一でも漏水事故が起こると面倒なこと、組合に積立金残高があることを知っていることから、早め早めに工事を提案してくる場合があります。管理組合としては管理会社から配管の改修時期であるという提案を受けてもあわてて決めたりせず、実際の配管の傷み具合等を調査しながら時間をかけて状態を見きわめ、管理組合が主体となって自分たちの積立金を使う改修工事の時期や内容を判断するべきです。
給水管、排水管いずれの場合も専有部内の配管の交換は一旦床をはがしてもとに戻す工事を伴うため、バラバラに行うのではなく両者の老朽化の度合いを見きわめながらどこかで同時に実施するように計画するべきです。費用をどうしても抑えたい場合に床下の配管はそのままにして室内に露出配管を新設する方法もありますが、その場合は排水音や結露の問題が出て来ます。
また専有部のリフォームのために区分所有者の判断で床下の配管工事を実施する場合がありますが、管理組合としての建物全体の配管の更新時期や内容と整合性のとれた工事となるよう、専有部分の工事についても管理組合が施工指針を用意することが考えられます。
給排水管の長期修繕計画としては、給水管(塩ビライニング鋼管)については15~20年で更生(戸当り25~30万円)、30年程度で更新(同50~60万円)というのがひとつの目安です。排水管については30年程度で更新工事(同100万円)というのが目安になります。これらの金額を合計すると戸当たり180万円前後になり、これだけで通常の大規模修繕工事1回分を大きく上回る費用になります。配管の状態によって実施時期はある程度調整できたとしてもいずれ必要になる費用として資金計画を考えるのがよいでしょう。
塩ビライニング鋼管が使用されるようになってからしばらくの間は継手部分の問題が表面化しなかったため、これでもう配管がサビることはないとされていた時期もありました。このため長期修繕計画のなかには給排水管の更新時期を大きく先延ばしにしたり、改修費用をあまり見込んでいないものも見受けられます。給排水管の健全性は建物の維持にとって重要な部分であり、こうした場合は配管や継手の種類・状態に応じた適正な修繕計画・資金計画の見直しが必要です。
大規模修繕の実施にあたって見積参加業者を業界紙で公募する場合、設計監理のコンサルタント会社が大手業者しか応募できないような資本金や工事実績を参加条件として設定しているケースがよくあります。大手でなくてもそのマンションの工事に必要な規模や実績があってより安い費用で良心的な工事をする会社もありますので、適正な競争が確保されるよう見積参加条件や見積参加業者の選定と最終的な施工業者の選定については管理組合が主体となって判断する必要があります。
工事監理については、コンサルタント会社の一級建築士が設備工事、特に配管工事の施工の良し悪しにまで通じている場合は少ないのが実情であり、こうした点は割り引いて考えておく方がよいでしょう。
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(投稿日:2015年07月30日 | カテゴリー:マンションの長期修繕計画)