マンションでよく見掛ける機械式の駐車場。土地を有効に使えるため、ほとんどのマンションではあたりまえのように活用されています。しかしながら、エレベーターなどの施設と比べると、メンテナンスの契約並びに法律が整備されていません。そうした中で目立つのは、修繕費用の見積もりなどが業者主導で進められ、住民が不当に高い費用を負担する問題です。
築後19年のあるマンションでは、機械式駐車場メーカーから、新設工事の見積もりが管理組合に出されました。耐久年数を過ぎたという理由からです。工事は、全面解体撤去して新規の機械式駐車場を設置するという内容。
解体撤去作業費600万円を含め総額9500万円のところを、4500万円値引きして5000万円に抑えたとの説明を受けましたが、管理組合は、値引き幅が高額であることから、実際の工事費用にも不信感がつのりました。メーカーを呼んでヒアリングをしたものの、一方的に専門用語をまじえ新設以外の手法はないと説明されるのみ。管理組合の修繕委員会は素人の集まりということもあって、費用の妥当性などを吟味することはできませんでした。
メーカーが一方的に修繕の見積もりをたてる背景はエレベーターと違って、建築基準法に定められた検査基準というものがありません。そのため、一台当たりの点検費用の基準も見えてこない。さらにメーカーだけでなく、メンテナンス業者も事故が起きた時の責任逃れをするためか、とりあえず点検時に気付いたことや疑問に思うことは何でも修繕の必要ありと安易に報告書に書く。その結果、費用も膨大になってしまいがちです。
一般的に機械式駐車場のメンテナンス費用は、屋外設置の場合、年6回の通常点検実施で一台あたり月額3000円前後が目安ですが、だだし、修繕基準などの情報についてはほとんど消費者に知らされておらず、判断がしにくい状況にあります。
もちろん、屋外か屋内、海に近いところといった「環境」や「使用の頻度」といった個別の要件もあり、前述の様にメンテナンス費用を一概に決めつけられませんが、一つの参考としながら、新設工事の場合も、機械式駐車場の法定償却年数は15年ということも参考にしてください。また、使い方次第では、それ以上持ちますが、昨今は、機械式駐車場の使用者が激変して空きが多くなり、点検費用、修繕費用等のコストを考えると将来的に、修繕積立金の大幅な不足に陥るため、機械式駐車場を撤去する方向で検討している管理組合も増えつつあります。
管理組合としては、一社だけの修繕費等の見積もりをうのみにするのではなく、複数業者から見積もりをとってよく説明を聞きながら選択するべきだと思います。同時に、住民に向けて、機械式駐車場では対応できない車両を使わないなど、故障の起きないような管理上の注意事項を徹底することも求められます。
(投稿日:2014年11月30日 | カテゴリー:機械式駐車場の修繕等)