10月19日に開催された第1回マンション管理ゼミ「安心・安全のコスト削減はこれだ!! エレベーターのコストのからくり教えます。」のレポート第2弾! フルメンテナンス契約(一定範囲の部品交換や修理が料金に含まれる契約)とPOG契約(これらが別料金となる契約)を解説します。
メーカーや製造年代によって差はあるものも、通常エレベーターは設置から20年程度は大きな修理が必要となる故障は少ないのが実情です。相談を受けたマンション(フルメンテナンス契約)で過去5年間に取り換えた部品の代金を調べたところ全部で5千円程度しかかかっていなかったという例があります。
メーカーもそのことはよく分かっていて、故障の少ない期間の料金は故障が多くなる期間の費用をまかなうための保険であると説明しているところもあります。(一般にメーカーでは古くなった機械の保守を途中からフルメンテナンスで受けることはしません。)一方でフルメンテナンス契約であってもメーカーは20年以上経った機械については主要部品の交換によるリニューアルを提案してきます。これによってフルメンテナンスにかかるコストをおさえるというねらいもあります。
メーカー保守の場合フルメンテナンス契約で月額4万円程度、一方POG契約で月額2万5千円程度が適正な料金の相場です。その差は税込で年間20万円程度となります。これを20年間積み立てれば400万円となり、万一主要な部品の交換等が必要になっても通常は十分対応できる金額です。従って設置から年数が経っていなければお勧めはPOG契約です。一方、設置から15年近く経っている場合などは、それまで支払ったフルメンテナンスの“保険料”のもとを取るためフルメンテナンスを続けた方がよいことになります。
エレベーターは機械系の部品と電気系の部品からなります。機械系の部品は年数が経つにつれて故障しやすくなるのに対して、初期不良が出ることがあるのが制御系などの電気系の部品です。けれども初期の不良はフルメンテナンス契約でなくても建築から1年間(売主によってはさらに長期間)は保証期間として無料修理を受けることが出来ます。5~6年で交換が必要なコンデンサー等を除けば半導体系の部品は一旦安定すれば途中で故障することは少ないので、エレベーターが建物の保証範囲に入っていることを確かめれば最初からPOG契約でよいことになります。
(投稿日:2014年11月6日 | カテゴリー:エレベーターのメンテナンス)