10月19日に開催された第1回マンション管理ゼミ、テーマは“安心・安全のコスト削減はこれだ!!「エレベーターのコストのからくり教えます。」 30年以上エレベーター業界の第一線にいる昇降機検査資格者当支援センターの専門家である笹原俊一講師によるゼミのポイントを3回に分けて紹介します。
エレベーター業界は関係者の数も限られており、消費者である管理組合やビルオーナーにその内情がほとんど知られていません。ゼネコンとの交渉でエレベーターを一旦据えつけてしまえばメーカー間の競争は起こらず、保守料金で安定的に収益を上げる「生涯チャンピョン制」が定着しています。実際、本来フルメンテナンスで1台当り月額4万円程度のエレベーター保守料金が、管理会社が間に入る分も含めて8万円/月額以上に設定されているマンションもあります。
エレベーターの保守料金が割高であると気付いても管理会社やエレベーター会社と交渉するだけではほとんど成果はあがりません。唯一の有効な対策は独立系の保守会社を加えた競争見積りを実施することです。独立系の中には月額2万5千円程度の料金の提案をしてくるところもあります。
エレベーターの保守会社を選ぶ時、メーカーの方が安全性が高いのではないかと考える方が多くいます。けれども、国の基準として安全性を担保するのは年1回の法定検査です。車の車検と同じように安全性に直接関係する部分の検査にメーカーと独立系の違いはありません。
タワーマンションなどで使われる分速120m以上の高速機種の場合は日常の整備点検を含めてメーカーのノウハウによる部分も大きくなり、原則としてメーカー保守の方が良い。一方これ以下の速度であれば、技術的に独立系では不安ということは特にありません。マンションのエレベーターの速度は年1回の「定期検査報告書」に記載されていますので、それを見れば独立系が使えるかどうかが分かります。
理屈の上では「安全」性に直接の影響はないといっても様々な考え方の区分所有者がいるのがマンションです。競争見積りによってメーカーの法外な料金設定を是正することが出来れば、残る料金の差額をどう捉えるかは区分所有者の考え方次第です。現在の保守整備状況が良ければメーカー保守を継続するより「安心」な選択を取るという考え方もあります。
(投稿日:2014年10月31日 | カテゴリー:エレベーターのメンテナンス)