ほとんどのマンション管理会社は常に住民のことを考えて行動してくれます。しかし、中には住民のニーズに真摯に向き合っているのか疑問符がつく管理会社があるのも事実。今回はズバリ、より快適な暮らしのために管理会社を変えてしまった管理組合の事例を紹介します。
マンションの管理会社のサービスや運営方法が劣悪であった場合、そこに暮らす住民は何ができるのか。しかたがないとあきらめることはなく、実は、住民が情報収集につとめ連携を密にすることで、住民自らの手で別の管理会社に変更することは十分可能です。
三月に竣工し二十七戸が入居するマンションの事例がまさにそれ。住民が入居する前に、すでに販売会社によって契約されていた管理会社はずさんで不誠実な運営方法だったのです。例えば、フロントマンと管理員の態度が高圧的。特に管理員は居住者への対応が差別的で人によって違う。また、組合員の承諾もないまま管理会社が勝手に建物の損害保険を自社で持つ代理店と契約。管理会社が提示する管理費の予算案も必要のない物品購入が盛り込まれていました。
そこで、以前から管理会社の運営に疑問を感じていた女性のAさんが管理組合の理事長に立候補し就任、六月に総会を開き管理会社に運営内容の見直しを求めました。
主な要求は以下のとおり。
以上の四点についてすべてを管理会社に承諾させることができました。ただ、その後も管理会社の対応は不誠実で何の改善も見られませんでした。
実はここからがA理事長の真骨頂だった。七月に臨時総会を開き、問題のあった管理会社を別の業者に変更することを発案し、総会で可決することができたのです。まさかと思うようなことに成功した理由は、Aさんを中心に入念な情報収集と住民の連携を密にすることで合意形成ができたことです。例えば臨時総会では、よその管理会社二社に委託管理費の見積もりや運営方法のリポートを書いてもらい提出、問題の管理会社がいかに不適切であるかを客観的に指摘しました。また、そうした調査依頼などの理事会運営の経緯を、合計六回にわたり「役員会ニュース」にまとめ、全組合員にこまめに情報開示してきました。
マンションの管理組合運営にこれまで携わったこともなかったAさんが、こうした活動ができたのは、専門知識や経験のある人との相談をこまめにし、何かとアドバイスをしてもらったため。集合住宅の暮らしを快適にするのは、やはり、住民自身の粘り強い取り組みがあったらこそです。
(投稿日:2014年10月22日 | カテゴリー:管理会社)