マンションは共同生活です。もし隣人関係で困ったとき、あなたはどう解決しますか? 実際に起こった騒音問題を例に、マンションの騒音問題の原因と対策を検討してみましょう。
「上階の子供が駆け回る音がうるさい」。マンションでは、こうした近隣の生活騒音に悩む人が少なくありません。しかも、相談に訪れる事例のほとんどが、音を出す側との人間関係がこじれてからのもので、解決が非常に難しくなります。
「騒音を出している」側の言い分はこうです。「コンクリート壁の建物では、音が漏れるはずはない」。しかし、左右両隣、上下階の四方に囲まれて生活をともにしているならば、生活音が全く漏れないということはあり得ません。音のとらえ方の許容範囲が人によって違うことも関係するものの、自分が音を出していることを想像できない人が増えつつあります。
マンションにはさまざまな人々が快適に住めるように、必ずと言っていいほど管理規約や使用細則があります。しかしながら、生活騒音に関して「気を使う」という意識が薄いのはなぜか。ルール以前に、人が集まって暮らしていくためには、「お互い様」「迷惑をかけないように」という個人規範が求められます。マンションでの生活トラブルの解決が非常に難しいのも、この個人規範がだんだん薄くなってきているからです。
では、マンションで暮らす住民はどうしていけばよいのでしょうか。例えば、分譲会社の「戸建て感覚で住めますよ」というセールストークで、最上階を購入した事例。ここでも、階下の住民から苦情が発生しました。上階の住民の言い分は、「戸建て同様で暮らせるといわれたのだから、分譲会社に文句を言ってくれ」。もちろん分譲会社の無責任な態度は問われるべきですが、まず、階下から苦情を言われたのであれば、実際にどのような音がするのか、階下に行って体験してみることから対話を始めることが必要でしょう。
被害者の多くは結構迷い迷いしながらも、それでも我慢の限界を超えるので「申し訳ないが静かにしてほしい」との心情を訴えているものです。それを、苦情を言われた方が木で鼻をくくった態度で対応してしまうと、対立が生じるだけです。この事例では、実際に階下に足を運ぶことで、「確かに音が響く。音を全く出さないことは難しいかもしれないが、できる限り静かにします」と、理解を示すようになりました。
(投稿日:2014年10月7日 | カテゴリー:マンションの騒音問題)