生涯にわたる家計の収支をあらかじめ具体的に計算して老後にそなえるFP(フィナンシャルプランナー)、あなたのマンションにもぜひ必要です!
今年発表された国土交通省の調査結果(※)に奇妙な数字が現れています。大規模修繕にかかった費用が、第1回目(平均築16.3年で実施)は戸当り平均100.0万円であるのに対して、第3回目(平均築40.7年で実施)では平均80.9万円、下位25%にいたっては55.1万円というものです。
第3回の築40.7年といえば、建物の補修費用もかさみ、エレベーター、機械式駐車場、建具といった設備の本格的更新をむかえる時期です。こうした要因がない第1回に比べたら、第3回はずっと費用がかかるのが本来の姿です。
上記の調査結果は、積立不足のまま、あるいは将来の見通しをたてずに資金を使ってしまい、肝心な時期に満足な修繕が出来なくなってしまっている実態を現わしているように思えてなりません。
※ 「マンション大規模修繕工事に関する実態調査(PDF)」4ページ、6ページ (国土交通省 平成30年5月11日 報道発表資料 【参考】情報)
上記のようになってしまう根本の原因は、将来の資金不足が組合員に見えないことです。
多くの管理組合では、毎年の総会議案書にのる年度ごとの会計収支は特に赤字にはなっておらず、修繕積立金残高もほぼ計画通りに推移していることでしょう。これだけを見れば、マンション管理に一定の関心を持ち、総会資料や長期修繕計画に目を通している組合員にとってすら、現状どおり進めていけば何も問題はないように思えます。世間並みに大手管理会社を使っていて管理費用が割高だと言われても、ことさら費用を切り詰める必要はあまり感じられないでしょう。
でも、これは将来に大きな支出のピークが待っていることに気付かず、十分な貯蓄を確保しないまま毎年の収入を使い切っているようなものです。一生涯にわたる収入、支出の見通しを具体的に計算して収支のバランスをはかるFPが必要とされます。
家計のFPでは、子供がいる場合、支出ピークは子供の大学等への進学時期であり、そこを乗り越えて、持続可能な老後資金を確保することが課題となります。
同じように、マンションにとっての支出ピークは第3回・第4回の大規模修繕を含めて築30年~60年の間に必要となる様々な設備の更新費用です。特に給排水管の老朽化による上下水の漏水にきちんと対処することは、マンションから住人が次々に出ていってしまうゴースト化を防ぐためにきわめて重要です。
これまで古くなったマンションは建替えればよいという想定がありました。ところが築50年超の5.3万戸を含む全国の膨大な数のマンションストックの中で、平成30年3月までに建替えが具体化したのはわずか274棟だけで、ほとんどが再開発などの特別な条件に恵まれて住民の負担がきわめて軽くすんだものとのことです。今後も大多数のマンションでは,1戸当り数千万円の負担が必要となる建替えは出来ないと考えるのが現実的です。
これに対して、建物の質や立地条件のよいマンションにおいては、築50年~60年のサイクルで給排水管を含む設備を更新するフィナンシャルプランを立てて実行することにより、建替えをしなくても専有部をリフォームしながら長く住み継ぐことの出来る住宅資産としての価値を十分に保つことが出来るのではないでしょうか。
次回はこうした持続可能な長期修繕のための「マンションFP」を具体的な数字で見てみます。
(NK)
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(投稿日:2018年12月27日 | カテゴリー:未分類)