私はマンション管理士ですが、普段は消費生活センターで相談員をしています。リフォーム工事、健康食品、布団、浄水器、太陽光パネルの設置…たくさんの物やサービスを買わされ、支払いできなくなって困窮する高齢者の相談はどんどん増えています。悪い業者だと契約書を渡していない場合もありますが、契約書をちゃんと渡されていも「そんなもん、読まない‼」という方がたくさんいます。でも、自分が何の契約をしたのか、その内容を確認することはとても大切なことです。
昔、消費者は保護される存在でした。『消費者保護基本法』で護られていました。でも時代が変わり、新しく『消費者基本法』となり『保護』が取れました。そしてようやく消費者の権利が法律の中に盛り込まれました。
消費者は保護される子どもではなく、大人として、自分達で業者からの情報を入手し、説明を聞き、自由に選択し、契約することになりました。
でも、手厚く保護されていたのに、いきなり放り出されても困りますよね?それで消費者基本法では国や地方自治体の責務を定め、事業者には消費者に対してわかりやすい説明をすることや消費者との間に生じた苦情を迅速に適切に処理することが定められました。そして消費者は、自ら進んで、必要な知識を修得し、必要な情報を収集し、自主的かつ合理的に行動するように努めることになりました。
消費者教育推進法も出来て、教育にも力を入れていくことになりました。
でも、この教育、まだまだ全然足りません。学生ならまだしも、既にとうの昔に学校を出た大人に教育するのはとても難しいですよね。
訪問販売や電話勧誘販売では必ず法律に沿った内容を盛り込んだ契約書を渡すことになっています。そして、その契約書は日本語で書かれており、大切なクーリング・オフ(無条件解除)の記載は赤字で書かれています。
クーリング・オフとは、頭を冷やすという意味です。訪問販売や電話勧誘販売では、業者から勧誘を受けて自分が購入するつもりのなかった物やサービスを購入してしまうので、本当にそれが必要なのか、少し頭を冷やして考える期間が与えられています。
そして、やはりいらないと思ったら、その契約をなかったことにできるのです。
これはすごく消費者有利のルールなのです。商品を使い始めていても、工事が始まっていても、契約はなかった事になり、何の負担もなしに、言い訳をする事もなくやめることができます。(一部例外はあります。)
そんな大切な事が書かれているのに、「読まなかった。知らなかった。そもそも契約書なんか読まない」と相談者は言います。
読んでもらうために、法律で8ポイント以上の大きさで赤字にするように書かれているのですが…。小さい字で読めないかもしれませんが、赤い字には何か大切なことが書かれているって思いませんか?
マンションでは、自主管理でなければ管理組合が管理会社と管理委託契約を結んでいるのがほとんどです。
新しく理事になった方から、「管理会社にどこまで頼んでいいのかわからない」と相談されることが少なくありません。
その契約内容については『管理委託契約書』を読めばわかります。英語ではなく、日本語で書かれておりますので、ゆっくり、じっくり読んでみてください。そして不明な点は理事会や、管理会社にご確認ください。
契約書にないのに余分な業務をやってもらっていたり、契約書に書かれているのにやってもらっていないことが発見できるかもしれません。理事になったらまず、管理委託契約書の一読をお勧めします。
(マンション管理士T.N)
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(投稿日:2016年08月30日 | カテゴリー:欠陥マンションの責任追及)