マンション管理で必ず話し合わなければいけないのが、長期の修繕計画です。工事の仕組みやからくりを理解していないと、管理会社から一方的な値上げを要求されるなど、よいことがありません。そうならないために、何が必要かを分析してみましょう。
「マンションの大規模修繕工事が終わるたびに、管理会社から修繕積立金の値上げを要求される」「いつもあっちこっち工事しているが、建物はそれほどきれいに維持されていない。」
マンションごとに作成される長期修繕計画とその修繕積立金をめぐり、住民からの相談は多い。その内容は管理会社が作成する計画内容への不満や疑問が多い。だが、そもそも長期修繕計画はだれが担うものなのか、この点があいまいになっています。
本来は、住民の管理のもとに計画が作られ、修繕積立金の金額が算定されるものであり長期修繕計画の作成は管理組合の業務として管理規約にも記載されています。しかし、これまで分譲会社がマンションを売りやすくするため、月額の修繕積立金を管理費の10〜 20%と固定していますが、マンション購入時からその金額に慣らされている住民は分譲会社が設定した金額に何の疑問も持たずに受け入れてきました。
今では、新築マンションでは分譲会社かその系列の管理会社が積極的に長期修繕計画を作成し、管理組合に提出しています。その計画の多くはかつての住宅金融公庫(現在、独立法人 住宅金融支援機構)が「新築から5年未満は戸あたり月額6,000円、5〜10年未満は7,000円」を参考としましたが、現在では、それらの金額が低いということで、2011年4月に国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」を制定し目安を提示しています。
いずれにしろ、個々のマンションの特性に応じてきめ細かく選定しているわけではありません。マンションの維持保全にかかすことのできない修繕費用を長期修繕計画に沿って積み立てることは、管理組合の最優先される課題です。
通常、修繕積立金の取り崩しは、管理組合総会の承認がない限りできないと管理規約で決められていますが、組合員は管理に無関心なため、総会の出席は極端に低く、管理会社が提案した修繕計画と工事は委任状ですべて承認されます。そうなれば、管理会社が施工会社に早変わりし、日常の小修繕から大規模修繕工事まで思いのまま実施します。
そうして、「法外な修繕積立金を請求される」といった冒頭のような相談につながるのです。実際、管理会社が提出する長期修繕計画には、そのマンションの保全が目的ではなく、どうも「施工会社」としての営業活動のための長計ではないかと疑わしくなるものがあるのも確かです。ならば、管理組合が自衛策として第三者の建築士に別途費用を払って、そのマンション独自の長期修繕計画を作成してもらうことも必要になります。自分たちのマンションの維持管理・保全を人任せにしないことが、マンションを快適に長持ちさせるための秘訣です。
(投稿日:2014年10月15日 | カテゴリー:マンションの長期修繕計画)