「民泊(みんぱく)」の話題については12月にブログで取り上げてご案内しましたが、あれから3カ月。新たな動きが出ています。昨年初めて「民泊」という言葉を知った方も多いかと思いますが、今や新聞・雑誌のほかTVのニュースでも取り上げられ、すっかり定着した感があります。今回はこの「民泊」の最新情報について考えます。
戸建て住宅を旅行者に貸し出すのであれば、民泊運営者(以下「ホスト」と言います。)が直接、利用者と接することができ、滞在中のルールや何かトラブルがあった時にも対応できるので、あまり問題になりません。これが本来の姿です。しかし日本での特に都市部での民泊の展開は、戸建ての一軒家よりもマンションの一室を貸し出す方ほうが主流であり、そこに様々な問題が発生しています。壁を隔て複数の方が居住するマンションですから、部屋の中での騒音、共用部分の独占、ゴミ出し、それに日々入れ替わり立ち代わる利用者への不審感など近隣に少なからず影響を及ぼすことになります。民泊利用者(以下「ゲスト」と言います。)は宿泊目的でマンションに滞在するわけで、旅先での解放感や気分の高揚から室内で騒ぐこともあるでしょう。またゴミ出しについてはそもそもゴミの分別回収をしていない国もあります。こうした国の方にゴミを分別して、指定の場所に出すと言っても理解されるでしょうか。マンションで民泊を運営するには、ホストとしての責任と自覚、それに近隣の理解が不可欠なのですが、実際にはその通りにいっていない実情があります。
ご承知の通り、今海外からの旅行者の急増でホテル不足が問題になっています。旅行しようにも、出張しようにもホテルが取れないと感じている方も多いことでしょう。これを解消するため、内閣府は国家戦略特区方式による民泊の解禁を決め、既に東京都大田区では民泊が開始されています。当初は同様の特区から民泊が広がると思われましたが、大田区では利用を6泊以上の宿泊に限るなど制限を設けており、実際の利用者のニーズに合わず、伸び悩んでいます。こうした状況の中で、国は旅館業法を改正して民泊を解禁しようという動きを進めています。この4月には一部基準が緩和され、2017年度末までには旅館業法自体を改正しようと言う流れです。今、3月の時点で合法的な民泊は大田区の3件だけでそれ以外は違法な状態です。それがこの4月から2段階を経て合法化されていくことになります。では管理組合として民泊合法化の流れにどう対応すればよいのでしょうか。
この問題へ対応の手順として、まずは管理組合の方向性を決定します。民泊を容認するのか、それとも制限するのか。どちらかの道を選択します。そして民泊を制限するのであれば、管理規約で民泊は禁止であることを明確に規定する必要があります。
理事会でその方向性を協議し、規約の内容を検討します。そのうえで、理事会を経て、総会で管理規約を改正していくことになります。
また民泊を制限する場合には規約の縛りだけでは不十分です。オートロックキーの解除方法や専有部分の鍵の授受など不特定の者への禁止事項などをルール化し、日常の管理においてルールを守らないゲスト等がいないかをチェックする体制も必要です。これには管理組合、管理会社、それに区分所有者(居住者)が協力して対応していく必要があります。
合法化は目前です。「こうしておけばよかった…。」と取り返しがつかなくなる前、今のうちにしっかり準備しておきましょう。
★民泊への個別の対応については事務局にご相談ください。
マンション管理士K.E
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(投稿日:2016年03月22日 | カテゴリー:マンション管理組合)