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意外と身近な「築50年問題」

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自分のマンションが築50年になる姿なんて、はるか先のことで考えたこともないという人が多いと思います。でも、その影響は意外に早く現れると考えた方がよいかも知れません。


●「築50年問題」とは

マンションの居住環境を良好に維持するための建物や設備のメンテナンス計画をまとめたものが長期修繕計画です。長期修繕計画は一見非常に複雑で専門的なものに見えますが、落ち着いて中身を見ると実は意外と単純な仕組みで作られていることが分かります。


自分のマンションの長期修繕計画を見てみると中に一番細かい表になったものが1枚入っていると思います。表の左端には「仮設」、「建築」、「設備」、「その他」等の項目ごとに具体的な工事の名称、実施周期、工事金額が書かれているはずです。(国交省「長期修繕計画標準様式」では(様式第4-3号)長期修繕計画表)。表の横方向に並ぶ各年度の数字は左端の実施周期ごとにその工事金額を当てはめたものであることが分かります。長期修繕計画の工事費用は基本的にはこの各年度の費用を積み上げたものであり、表計算ソフトを使えば、現在と同じ前提で築50年、築60年までの工事費用を出してみることは難しくありません。


そうすると築50年から築60年頃にかけて工事費用の大きな山場をむかえることが見てとれるはずです。これは通常工事周期として6年、10年、12年、15年、20年、30年等が想定されているものが多く、そのほとんどが築50年~60年の間に重なってくるためです。もちろん実際の工事時期、工事金額は計画とは変わってきますが、本格的な給排水管の交換等を含めて築50年~60年にかけて最大の資金需要に備えておくべきことを示しています(なお、「築50年問題」は今回のブログの造語で一般的な用語ではありません)。


●身近な理由 その1: 建替えはまず無理.「築50年問題」は避けて通れない

築50年なんて先のことは、建替えなり何なりまたその時に考えればいいじゃないかという人も多いと思います。けれども、実際にはマンションの建替えには、建物の解体費用や建替えプロジェクトの企画運営・利害調整のための専門家費用を含めると新築時と大きくは変わらない費用がかかるとも言われています。高齢化した入居者の負担能力を考えると、もともと敷地が広いか再開発プロジェクトで容積率が緩和されて戸数を大幅に増やして外部に販売できるといった幸運に恵まれない限り、実現は難しいと考えた方がよさそうです。


建替えが無理となれば、建物・設備の老朽化で住民が次々に出て行ってしまうゴーストマンション化を防ぐには、「築50年問題」はほとんどのマンションにとって乗り越えなければならない山となります。


●身近な理由 その2: 「築50年問題」は築20年から見えはじめる

自分を含めて日本人は家を買うとき取りあえず30年住めればそれより先のことはあまり真剣に考えないという人が多いような気がします。一方で、残り20年を切って今後老朽化が進みあと10数年しか住める見通しがない住宅をまともな値段で買おうという人は少ないでしょう。築30年の時点で「築50年」に数億円規模で資金が不足するマンションはこうした道をたどりつつあると考えられます。


今後、老朽化で立ち行かなくなるマンションの事例が増えてくると、築20年の時点で、これから30年間の長期修繕計画上「築50年問題」を乗り切る資金計画見通しを持っていることが重要視される時代になってくるかも知れません。そのために、管理組合の支出・収入を見直し、管理組合に出来るだけ多くの資金を残すための取組みは早ければ早いほどよいと言えます。


●100年マンションを目指して

「築50年問題」は大きな山場ですが、逆にここを乗り越えて設備・建具を更新し維持管理を続けていければ、建物のコンクリート躯体自体は100年以上もつとも言われていることから、次の50年が見通せるようになるのではないでしょうか。


100年持続可能マンションを見据えて地道に資金計画を立てて実践出来た管理組合が築30年を超えて最後に笑うような気がします。


マンション管理士 NK



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