マンションの困ったちゃん こんなことって許されるの!?
~マンショントラブルを考える~

住まいブログ マンション管理・経営支援
9月24日に中井弁護士による第15回管理ゼミを開催しました。単なる法律的な解釈だけではなく、いかに困ったちゃんに対応するかについて具体的な現場対応の講演で「目からうろこ」になる内容が多く、その中から抜粋しますので管理組合活動の参考にしていただければと思います。
【事例】 20戸程のマンションにおいて、理事のなり手がなく、ここ10年ほど、Aが理事長を務めている。自主管理である。
Aはとても面倒見が良いが、総会も理事会もいつも同じメンバーで運営を行っている。会計もまともにされていないようで、理事の人たちは、理事会と総会と称して、近所の居酒屋で酒を飲んでいる。また、大規模修繕工事を実施するが、A理事長は工務店も営み、自分の会社にマンションの工事を高い金額で発注しているようである。このままだと、管理組合がAに私物化されてしまう。何か良い方法はないか。
1 理事のなり手がいないときの対応方法
①当番制(順番制、輪番制の制定)の制定
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当番制等の制定により、より多くの組合員が理事を経験することにより関心や参加意識を高める。
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当番を受けられない場合のペナルティは、妥当な金額であれば法律が禁止するものではないと考えられる。例えば、そのペナルティ的な金額があまり安いと辞退する組合員が増える可能性があり、当番制の意味がなくなるので本末転倒にならないような工夫をする必要がある。
②立候補制、抽選制の適否
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当番制等があっても立候補は妨げない・・・候補者選出の手続きに過ぎず、最終的に総会で選任された者が理事となる
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知恵をしぼって組合への関心を高める方法を決めればよい
③管理会社を「管理者」とする方法
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投資型マンションに多いがどうしてもなり手がいない場合は、管理会社を「管理者」とする方法もあるが、基本的には組合員の財産なので、自分たちで関心をもつのがよい
2 独断理事への対応方法
※基本は独断理事の解任方法は区分所有法25条1項「区分所有者は、規約に別段の定めがない限り集会の決議によって、管理者を選任し、又は解任することができる。
①理事長が招集権限を持っているため、解任総会が開けない場合の対応方法
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区分所有法第34条3項=5分の1の区分所有者による「理事長解任」の総会招集請求をおこなう。
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全員の同意による招集手続きを経ない総会開催=区分所有法36条(参考:東京地裁平成2年5月31日判決=管理規約等に理事長以外の監事、副理事長等による招集権を定める等しておく)
②通常総会に等における解任の可否
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別段の規定がない限り、予め議題にしていない場合は、理事長解任を決議ができない(区分所有法第37条)、その場合任期のタイミングで、選任を否定する方法がある。
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役員選任が「議題」になっている場合には,当該問題理事長を役員として選任せず,別の人を理事長にする「議案」を提示することは可能である。
③強制解任手続=区分所有法第25条2項
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「不正な行為」「その他職務に適しない事情があるとき」→「各区分所有者」は「解任を裁判所に請求することができる」
④当該理事長が多数の区分所有権を持っており面積割で多数を形成している場合
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管理規約で理事長の独断専行をいかに押さえるかという点が重要。規約を変更して,監事をもうけたり,理事会で複数理事の選任、もし議決権が面積割合になっている場合は,頭数要件を追加することが必要。また,管理会社や外部の専門家の選任等を定める。
(代表理事 有馬百江)
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TEL/FAX: 03-5820-2152 平日10:00~17:00(来所は月・火・木のみ)
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(投稿日:2017年10月19日 | カテゴリー:マンションの共同生活のマナー)