民泊新法(住宅宿泊事業法)が今年2017年6月9日に国会で成立し、早ければ来年1月にも施行されると報じられています。これを受けて国土交通省では今年8月にも「マンション標準管理規約」を改正し、同法にもとづく民泊を可能とする場合と禁止する場合の双方の例を示した上で、民泊の受け入れ可否を管理規約に明記するよう求めていくとのことです。
これまで民泊は特定の自治体(「特区民泊」:東京大田区、大阪府(一部)、大阪市、北九州市等)や、旅館業法の「簡易宿所」として許可を得た物件等、限られた範囲内でのみ許されてきました。これに対して民泊新法では一定の要件を満たせば日本全国で都道府県知事への届出だけで民泊を営むことが出来るようになります。これを受けて、この一月ほどの間にも著名企業やその子会社が続々と民泊関連ビジネスへの参入を表明したり、不動産投資家の間で民泊開業への関心が高まったりしているようです。
新法のマンションへの影響が気になるところですが、昨年12月に国交省が標準管理規約に準じた「専ら住宅として使用する」等の規約があるマンションは民泊に使えない(常識的な解釈だと思います)という通達を出そうとしたところ、民泊を推進する立場の内閣府から待ったがかかり宙に浮いてしまったという経緯がありました。
こうした中、「特区民泊」については大田区、大阪府は規約で明確に禁止していないマンションの民泊を認める一方、大阪市では「住宅のみ」等の規約がある場合は別途民泊としての使用を許諾する管理組合からの書面の添付を求める等、自治体によって解釈・運用に差があるようです。
「新法民泊」については上記のような混乱を避ける意味もあってか、国交省では今年の8月に標準管理規約を改正して民泊について禁止か許可かを管理規約で明確にするよう要請していくとのことです。
国交省が今年5月に公表したアンケート結果では管理組合・区分所有者の約9割が自己のマンションでの民泊実施に否定的だったと報じられています。もともと多くのマンションが用途を住宅に限り、「住宅としての使用は(中略)生活の本拠であるために必要な平穏さを有することを要する」(国交省標準管理規約コメント)ことを前提としてきた中で、民泊は住宅用マンションにはなじまないと考える方が多いのは当然ではないかと思います。
新法の施行が来年1月だとするとそれまでに総会を開いて規約改正が出来る管理組合は限られるでしょうが、国交省と内閣府の解釈の相違という宙ぶらりんな状態から、管理組合の意思を明確に示す具体的かつ公式な方法を示そうとしている点は一歩前進と言えそうです。
けれどもこれで十分でしょうか。「特区民泊」や「簡易宿所」も民泊の手段になる点では同じです。この点を含めて今回の標準規約改正について当支援センターの民泊問題専門家が次回再度取り上げる予定です。
(NK)
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(投稿日:2017年08月2日 | カテゴリー:民泊)