ご存知のように分譲マンションを購入した人は区分所有者と呼ばれます。これは一つの建物内の独立した専有部分を複数の人に分けて売る(すなわち分譲する)場合、「建物の区分所有等に関する法律(区分所有法)」が適用されることになっているためです。マンションを買った人は購入と同時に自動的に管理組合員になることなどもこの法律で定められています。ちなみに区分所有法はマンション専用の法律ではなく、分譲される建物であれば他でも適用されます(分譲倉庫などの例があるようです)。
区分所有については、「何だかよく分からないけどマンションではあたりまえのこと」としてそれ以上気にかけない人が多いと思います。けれども、あらためて考えてみるとこれには驚くべき真実が隠されています。
区分所有法は建物に関する法律なので実際に車に適用されることはありません。でも、仮にもしこれが車だったらということを考えてみましょう。乗客用の座席が専有部、車体やエンジンが共用部、お雇い運転手兼日常整備担当が管理会社(管理員室は運転席)で、運転手の給料とガソリン代は管理費、車検費用は修繕積立金といったところでしょうか。マンション管理の仕組みについてのたとえ話としても面白いですね。
話しがやや脱線しましたが、車に対する考え方は人によってさまざまです。車に愛情をそそぎ手間も費用もいとわず常に最高の状態にしておきたいという人もあるでしょう。こうした人は車をいつもピカピカにしておきたいし、万一でも調子が悪くなることがないよう6ヶ月の法定点検ごとにディーラーに持込んで勧められるままに様々な部品を予防的に交換するのが安心だと考えるかも知れません。一方で、車は道具と割り切って、故障して動かなくならない限り余計な手間や費用は一切かけたくないという人もいるでしょう。
車であれば、これだけ考え方の違う人が一台の車を共同で所有しようとすることはあり得ませんね。ところが、これと同じことが日常的に起きているのがマンションの区分所有という仕組みです。
マンションの場合でも購入の目的や住まい方、建物の維持管理に対する考え方は人によってさまざまです。けれども、マンションを購入する時にそうした考え方について聞かれることはありません。また他の購入者がどのような考え方をもっているかを知るすべもありません。つまり、マンションというのは先程の車の例ではあり得ないことが常に発生している場であるということができます。日本全国のマンションで全く考え方が違うかも知れない人とひとつの建物を(区分)所有することが日常茶飯的に行われている・・・これはある意味で驚くべき真実ではないでしょうか。
こうした中で管理組合を中心にものごとを進めていく仕組みを定めたのが区分所有法です。全てのマンションは「驚くべき真実」のうえに成り立っているものであるという自覚にたち、それだからこそお互いに折り合いをつける精神が大事ということではないでしょうか。
(NK)
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住まいブログ マンション管理・経営支援
(投稿日:2016年02月22日 | カテゴリー:マンション管理組合)