第30回管理ゼミのテーマである「エレベーターと機械式駐車のメンテナンス等」について、管理ゼミではパーポイントで一挙に情報提供をしますが、ブログでは、順次シリーズ化(2週間を 目安)して取り上げていきます。
【シリーズ1】エレベーター相談事例を大きく分けて4事例で今回は「事例1 POG契約等」についてである。
※POG保守契約、独立系点検費用 17,600円/月額、税込み
築19年にしていきなり280万円の部品交換の見積もりが管理会社経由で提出されたが果たして急いで工事を実施する必要があるのか、業者を呼んで見積もりの説明をしてもらったが、「緊急の部品交換工事実施の必要はないが、予防保全としてのご提案である」と言う。早速、専門家に相談した結果は。
メーカー系保守会社のフルメンテナンス契約が安くなると金額だけで判断し、POG契約に変更する例があるが、メーカー、機種、製造年等により結果的に割高になる可能性あるので、慎重な検討が必要。
独立系保守会社の中にはPOG契約を積極的に奨める会社もあるが、POG契約に変更した途端に、事例のように多数の部品取替を提案される場合が多々ある。素人に部品取替時期の判断はなかなか困難な場合があるので、専門家に相談するのも一つの方法である。
1980年代までに製造された大手メーカーのエレベーターは適切な部品取替、修理により竣工後50年程度の使用に耐える設計されていたが、1990年代以降のエレベーターは半導体を多数使用している。
半導体の製造中止=部品製造中止となる。したがって、本体の製品寿命より補修部品の供給停止がエレベーターの寿命になる。特にマイコン系半導体は日進月歩、製品継続生産期間が短期化している。
今回の事例の場合、独立系保守会社からの部品取替は、制御及び駆動制御を含めた多数の半導体系部品の交換工事が提案されている。竣工後19年経過しているので、築後25年でリニューアル工事をすると想定した場合、独立系保守会社の提案以上に部品の取替をしなければ、追加部品取替が発生する可能性は高くなる。
そのためランニングコストを考慮し、マイコン系主基板等に電源を供給している安定化電源装置及び非常時用バッテリーの取替を提案した。一般的に長期に安定稼働しているマイコン系基板は、初期不良を除き長寿命である。一方、短寿命の安定化電源装置は、適切な交換工事の時期によりエレベーターが安定稼働するのが一般的である。
(投稿日:2022年01月3日 | カテゴリー:エレベーターのメンテナンス)