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マンション問題、解決事例

マンション管理組合支援センターがこれまで取り組んださまざまなマンション問題について、解決事例をいくつかご紹介します。

管理会社を選択する場合の一番のポイント

支援センターには年は4~5管理組合から「管理委託費の見直し」の依頼がある。管理組合が一番望むのは、現管理委託費が適正金額であるかどうかの確認であり、可能な範囲での委託費の削減である。複数社による相見積もりを実施すると、削減効果は大きいが「安かろう悪かろう」では意味がない。

そこに陥らないためには、マンションの担当フロントマンの管理組合に対する姿勢や経験・実績が大きな決め手となる。ヒアリングの場だけでその判断をするのは難しいが、少なくとも①現在担当している管理組合数(当然少ないに限る)、②そのマンションを担当するにあたっての意欲の度合い、③工事見積書を管理組合に提示する場合の心掛け、ポイント等を複数の理事で聞けば、そのフロントマンの管理に関する姿勢が垣間見える。そのようなフロントマンを多く育てている会社かどうかが選択のポイントとなる。


機械式駐車場の適正な点検業務とは?

築17年100戸のAマンションで機械式駐車場の経年劣化によるチェーン交換工事の350万円の見積もりが提案された。高額であり、その工事の必要性について当センターに相談があった。

「建物診断と同じように機械式駐車場の現状把握のための現地診断の必要性がある」等の専門家によるアドバイスにより、診断を行なった結果、竣工当初から点検が点検報告書通りに適正に実施されていないことが判明した。

当初、点検を実施していたのはメーカー(建築時に機械式駐車場を納品した業者)で、その後独立系に変更したが、いずれも適正な点検を実施していなかった。

支援センターの診断報告書を点検業者に渡したところ、4カ月後には指摘した点検不足が是正されていた。チェーンの不具合は給油不足が原因だったのである。給油が適正に行われたことにより、350万円のチェーン交換工事も不要になった。

械式駐車場については、点検報告書通りの点検が行われているのか甚だ疑問である。そのため点検後、適正な検査が行われているのか組合で確認する必要がある。その点検方法は決して難しいものではない。今後、支援センターではそのチェック方法について提案していく予定でいるので参考にしていただきたい。

ちなみに専門家が指摘する機械式駐車場の点検業務内容の大切なポイントは、① 調整、② 給油、③動作が点検時に適正に実施されているかどうかである。


嘘で固めたチェーン交換工事、管理会社からの提案

地上3段地下2段方式(昇降横行・ピット式)駐車設備収容台数34台の駐車場を持つBマンションで、管理会社から180万円の機械式駐車場修繕見積書が提案された(写真添付あり)。工事内容はチェーン4本と動力ケーブルの交換であったが、見積もり金額が適正かどうかの検証依頼が支援センターにあった。

現地調査の結果、見積書では4本になっていた昇降チェーンは実際には2本しかなかった。また、チェーンの固着は5ケ所となっていたが、こちらは2ケ所であった。写真にある固着・よじれはなく、添付写真は別のマンションのものであることが判明した。

今回の不具合原因はチェーンの軽度の固着なので、交換する必要はなかった。その部分2ケ所をハンマーでたたき、固着部分を外して潤滑油を塗れば解消することがわかった。動力ケーブルについては、定期的に交換の必要はあるが、交換計画をたて、利用者に代替駐車場等の負担がかからないように分割して交換するのが望ましいとの見解を示した。

この専門家の診断により、動力ケーブルは、今すぐ工事を実施しないと事故が起こるという状況ではないため今回は見送り、昇降チェーン50万円程度の費用での改修を行うアドバイスを行った。

何より問題なのは、昇降チェーンの本数を偽り、見積もり添付の写真を別のマンションのものを使用するといった背信行為である。管理組合を欺く行為であり、決して許されるものではない。


エレベータの耐震工事の必要性は?

築22年のCマンションで、30年目にエレベータの機械を入れ換えるリニューアル工事を実施する方向で検討しているにもかかわらず、管理会社からエレベータ耐震工事4,208,000円(税抜)の見積もりが提案された。管理会社の説明では『現在のエレベータは法律が変わり、既存不適合状態なので、組合員から耐震対策工事の要望があった。耐震対策工事を実施しても、今後予定されているリニューアル工事の際は、今回先行して実施した工事については、除外できるため、耐震工事は無駄にならない』ということだが、本当に工事を実施する必要はあるのかという相談が支援センターに寄せられた。

ちなみに、その工事の内容は、①P波センサー付地震対策時管制運転装置1,368,000円(税抜)、②停電時自動着床装置 1,404,000円(税抜)、③耐震対策工事 1,436,000円(税抜)である。

支援センターの昇降機検査資格者の見解は、「既存不適格と言っても現在の法律に適合していないだけで違法性はない。また停電時自動着床装置は今工事をしても30年目のリニューアル時にそのまま使用できるというが、8年先にはバッテリー性能が大幅に向上しているはずで、現実的でない。現時点で早急に部分的な工事を実施する必要性はなく、今後実施する全面リニューアル工事の中で耐震対策工事も含めて全ての工事を実施するのが金額的にも無駄がない。」というものであった。業者の営業トークのまま、無駄な工事をする必要はなく、今すぐの工事は不要という報告を管理組合に対して行った。(ただし地震での閉じ込め対策のために、エレベータに防災ボックスなどの緊急用具の設置は早急にするべきと思われる。)。


理事会との連携で管理費の大幅値引き交渉に成功

竣工以来売主系列の大手管理会社に管理を任せてきたDマンション。管理会社から高額な大模修繕工事提案を受け、積立金の値上げをしたものの、それをきっかけに管理費の削減を目指す方針となり支援センターに相談があった。

管理委託内容と管理委託契約書を分析した結果、30%以上の削減余地があることが判明したが、大手管理会社との単独交渉でこれだけの削減は通常難しい。

いつでも競争見積りに移行できる段取りをセンターで整えた上で、理事会から管理会社に対して最低削減目標金額を明確にし、それがかなわない場合は他の管理会社へ変更するという決意を伝え、減額交渉を行った。3回の交渉の結果、危機感を持った管理会社は本社の了承を取りつけ、最終的に30%、年間360万円を上回る管理費削減に成功した。


一括集中給湯から個別給湯へ

Eマンションは賃貸専用分譲マンションで、屋上に大型給湯機があり、そこから各戸にお湯を供給していた。給湯代金は先に管理組合が支払い、その後各戸に請求を行ったが、滞納者が多く、100万円以上の未払い給湯料金が管理組合の財政をひっ迫させていた。この給湯料金の回収を積極的に行う仕組みを提案し、全戸回収した結果、財政が健全なものになった。

また20年の経年劣化で給湯管の劣化が進み、交換が必要になったが、管交換の実施は期間的にも予算的にも構造的にも不可能だった。そこで給湯システムを一括供給から個別給湯に切り替える提案をした。3年の期限を設け、その期間に工事を行えば、管理組合から一定の工事代金の補助を出すようにし、全戸に給湯機の設置を積極的に進める事に成功。3年後に屋上の大型給湯機の使用を終了し、個別給湯に切り替えることができた。


民泊問題

合法化された今、管理が強化される反面、水面下で巧妙に継続するヤミ民泊やウィークリーマンションなどがあり、ある意味で管理組合における違法民泊対応は難しくなっている。

違法民泊が行われながら、民泊の事実を認めず開き直る事業者に苦悩する管理組合を支援し、規約の整備から、違法民泊事業の特定、そして違法事業者の追い出しまで対応し、4カ月がかりで組合に平穏をもたらした。

その他、民泊禁止規約の整備から総会での承認手続きを経て違法事業者の追い出しまで、様々な民泊実務に対応してきている。今後も民泊問題については様々な予期せぬ問題が出てくることが予想されるため、センターに相談があれば、実質的な支援を提供可能である。


大規模修繕工事での不正コンサル排除

社会問題化する施工業者と不正コンサルとの癒着問題は巧妙化し、表面上見分けが非常に難しくなっている。見分け方の決め手は金額の比較だけでなく、実際の担当者、責任者を同席させてヒアリングを行うことにある。200戸のタワーマンションでは施工業者との癒着が疑われるコンサルタントに対する質問で癒着問題を取り上げた。

その際の回答にヒアリング参加者は違和感を覚え、排除できた。また別の管理組合では組合が求める情報開示を最後まで拒むコンサルをヒアリング候補から外した。

このように大規模改修工事の設計事務所選定で一番難しいのは、立派なプレゼン資料やネームバリューに惑わされず、その裏にある組織の不誠実な思惑を排除し、透明性のある選定を行うことである。支援センターでは不正コンサルの傾向を管理組合と徹底的に共有し、不正コンサルに騙されないように、中立な立場での設計事務所選定を実施している。

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